私選、このマンガがよかった2011

新年が明けましてもう2週間が過ぎようとしているわけで、なかなか今さら感が漂っておりますが、2011年の私選マンガベスト5冊です。

2011年に出版されたマンガ単行本で、私が読むことのできたマンガ単行本から、振り返って「おもしろかったなあ」としみじみとした5冊選出していきたいと思います。

なんだか、すごい統一感のあるというか、偏狭なというか……、そんなセレクトになってしまいましたが(笑)



あねちゅう(1)

あねちゅう!溺愛悶絶美奈子さん 1 (BUNCH COMICS)

あねちゅう!溺愛悶絶美奈子さん 1 (BUNCH COMICS)

「アヘ顔」の亜種である「おへ顔」はこちらです。
「マジでショタコンのキチ」なお姉ちゃんがかわいい弟に萌え狂うマンガです。
とはいえ、お姉ちゃんは弟に性的な欲望を抱いているわけではなく、ドロドロの近親相姦モノではありません。ブラコンギャグです。

で、その弟への萌え方が尋常じゃないわけです。
弟の下着の匂いを堪能しようものなら、白眼になって全身を痙攣させながらよだれと鼻血がドボドボ。
弟に萌えた衝撃がものすごい迫力でページを埋め尽くしてます。
あんまりにもお姉ちゃんの身体が気持ちよさそうなので、思わず爆笑しちゃうのです。



今日のあすかショー(2)

今日のあすかショー 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

今日のあすかショー 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

一巻を読んだ時の感想で「あすかちゃんは女神様やぁ……」と私は書きましたが、今巻もまったく評価はブレず。
感じやすい心を持ちながら、しかし男の性欲に絶望することはなく、またしかし処女。
その一生懸命さのおかげで表情がくるくると移り変わることも、どの表情じたいも読者を癒やさないものはないでしょう。

二巻では百合の妹ができて、その交流のおかげで神性が落ちちゃうのかなあと思いきや、妹を吹き飛ばすほどの神々しさをやはり発揮。
やっぱり女神なのです。



はじらいブレイク

昨年で一番ムスコ♂が喜んだマンガでございました。
ただ、ムスコは物を言わないので、語るのが実に難しいです。
鼻の描き方を見ればわかりやすいのですが、マンガも絵もドンドンうまくなっていってることがこの一冊からでもわかりますので、次作も首を長くして待っております。



オトメの帝国(1)

オトメの帝国 1 (ヤングジャンプコミックス)

オトメの帝国 1 (ヤングジャンプコミックス)

女子高の日常マンガ。
大島永遠『女子高生 Girl's High』や宮崎摩耶ゴクジョッ。』が女子高生をお下劣ドタバタギャグの芸人として描くなら、こちらは、同じ生態のはずの女子高生を生々しくも妖しげな百合少女として描きます。

けいおん!』のような男性側の女子高美化のカウンターとして、特に『女子高生 Girl's High』なんかは描かれているわけですが、私には『オトメの帝国』はまたそのカウンターのように思えるのです。

確かに女子高の生徒は、耳年増の下品で傍若無人の恐いものなしかもしれませんが、大好きな友達が隣にいるからこそそんなふうにテンション上がっちゃうのです。



ナナとカオル Black Label(1)

ナナとカオル Black Label 1 (ジェッツコミックス)

ナナとカオル Black Label 1 (ジェッツコミックス)

昨年で最も胸の鼓動が高まった一冊。
ナナとカオル』の外伝で2人が先生に連れられてSM合宿しちゃうというお話。

先生がポツリポツリと話す官能小説のような台詞は、読者までもじわじわ飲みこんでトランスさせていきます。
ナナが縛られてる先生のパートナーにトランス的に同化して高ぶってるのが非常にいいです。
お昼のパートで先生方に聞かされた過去エピソードが複線となって、ナナの同化の足がかりとなっていきます。
先生のロールプレイという物語と複線が回収されていくという物語の二重の緊迫感。

どのキャラクターもプレイが進むにつれ感情が高揚していきますが、身体が気持ちいいのはその結果にすぎません。
その性感が我々読者の、キャラクターのドキドキへの同化の足がかりとなるわけなのです。

東京都青少年健全育成条例の改正された部分によって、描写すると指定される可能性のある刑罰法規一覧

2010年の12月に可決された東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案が7月に施行されるまで1カ月を切りました。
この記事では、改正された条例中の「刑罰法規」とはどういう意味なのか、現在わかっている範囲で整理します。



可決前に不安視されていたことのひとつは、条文中の「刑罰法規に触れる」と言う箇所でした。

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第7条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
(略)
二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの


東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_jyourei/08_p1_1.pdf


山口貴士氏は「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」という条文の問題のひとつについて以下のように述べています。

「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」を考えているうちに、疑問が湧いてきました。「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」は要するに犯罪ということです。

現行法を基準にして考えた場合、「刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為」には、強姦、強制わいせつ、売春、児童買春、淫行条例違反、児童福祉法違反の「性交若しくは性交類似行為」が含まれることになります。

しかしながら、刑罰法規には、時間的な制約と場所的な制約があります。

(時間的な制約)
⇒刑罰法規の施行時以前に遡及することは出来ない

(場所的な制約)
⇒法律:基本的に日本国の主権が及ぶ範囲にしか及ばない(国外犯処罰等は考えず、敢えて、大雑把に論じています。)
⇒条例:当該自治体にしか及ばない

時間的な制約という観点から考えると、過去の時代について描いた場合はどうなるのでしょうか?

例えば、江戸時代では、売買春は合法ですし、性交の最低年齢も決まっていません。領主の初夜権等もあったでしょうし、そもそも、権力者に逆らうこと自体が許されない時代、あるいは、奴隷制度が存在する時代もあります。そのような時代には、被支配者や奴隷に対し性行為を強要しても何ら違法性の問題は生じないでしょう。

直近の例を挙げます。東京都には、いわゆる淫行規定は2005年6月まで存在しませんでした。長野県には今でも淫行規定はありません(長野県内の自治体独自のものはある)。

場所的な制約との関係で言えば、国ごとに法律は異なります。自治体ごとに条例は異なります。

例えば、東京都の淫行規定は青少年を処罰の対象にはしません。他の都道府県には青少年をも処罰の対象にするものもあります。なお、処罰の対象となるならないにかかわらず、「刑罰法規に触れる」と解釈する余地もあります。

創作物であれば、時代・場所の設定は自由ですし、架空の時代、そもそも、全く価値基準の異なる世界を舞台とする場合もあるでしょう。このような創作物について、現在の刑罰法規を基準として、規制の対象とすることは、ナンセンスという他はありません。


第7条第2号から見える「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」の問題点: 弁護士山口貴士大いに語る
http://yama-ben.cocolog-nifty.com/ooinikataru/2010/12/post-b9ed.html


つまり、7条1項2号の条文でいうところの「刑罰法規」というのがなんなのか、少なくともその時点でははっきり定義付けされていなかったわけです。
この「刑罰法規」についての詳しい解説は条文中・規則中のどこにも存在しませんので、事実上、山口氏が述べるように全ての時間・場所の刑罰法規が該当する可能性があるでしょう。


ところで、7条は自主規制の努力義務についての条文であって、これが守られなかったからといって不健全図書指定されるわけではありません。

不健全図書指定できる図書類については第8条に記されています。
今回の改正によって追加された条文は以下です。

第8条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。

二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第7条第2号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する
健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの


東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_jyourei/08_p1_1.pdf

この条文によって指定されるものが、改正によって新たに指定されることになるものであるといえます。

条文中に「第7条第2号に該当するもののうち」とあることから、今回追加された7条1項2号と8条1項2号は関連しています。
つまり、改正によって新たに指定されることになる(8条1項2号に該当する)図書類は、7条1項2号にも該当しているのです。

このような繋がりがあるために、条例8条の細かい基準である施行規則15条はそれを意識した書き方となっています。

条例7条の施行規則というものが存在しないために、その施行規則15条は、7条1項2号の「刑罰法規」の定義であるとはいえませんが、7条1項2号に「刑罰法規」の基準に当てはまるという点で該当した描写を指定するための、8条1項2号のさらなる「刑罰法規」の基準ではあるでしょう。

施行規則15条2項2号では条例8条1項2号に該当する刑罰法規が明記されているのです。

両条文が指す「刑罰法規」の範囲を仮に不当号で表わすなら次のようになるでしょう。

7条1項2号(無限大)>8条1項2号(施行規則15条2項2号の範囲)

まあ、7条文中の「刑罰法規」という言葉とはそこまで関係がないのかもしれませんが、施行規則15条1項2号を他の法令も引用しながら以下整理します。

(指定図書類、指定映画等の基準)
第15条
2 条例第8条第1項第2号の東京都規則で定める基準は、次の各号のいずれかに該当するものであることとする。
一 性交又は性交類似行為(以下「性交等」という。)のうち次に掲げる行為を、当該行為が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し、又は当該行為の場面を、みだりに、著しく詳細に若しくは過度に反復して描写し若しくは表現することにより、閲覧し、又は観覧する青少年の当該行為に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。

イ 刑法(明治40年法律第45号)第176条から第178条の2まで、第181条又は第241条の規定の違反行為

(強制わいせつ)
第176条 13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(強姦)
第177条 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

(準強制わいせつ及び準強姦)
第178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
2 女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。

(強制わいせつ等致死傷)
第181条 第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 第177条若しくは第178条第2項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は5年以上の懲役に処する。
3 第178条の2の罪又はその未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は6年以上の懲役に処する。

(強盗強姦及び同致死)
第241条 強盗が女子を強姦したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。


刑法
http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM

ロ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条の規定の違反行為

(児童買春)
第四条  児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。


児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html

児童福祉法(昭和22年法律第164号)第34条第1項第6号の規定に違反する行為

第三十四条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
(略)
六  児童に淫行をさせる行為


児童福祉法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO164.html

ニ 条例第18条の6の規定に違反する行為

(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第18条の6 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。


東京都青少年の健全な育成に関する条例
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_jyourei/08_p1_1.pdf


東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_jyourei/08_p2_1.pdf


以上が、施行規則によって定められている、条例8条1項2号で不健全図書指定されうる刑罰法規です。

今現在はこれ以外の刑罰法規は触れていたとしても条例8条1項2号としてはスルーしてくれるようだ、とも読めます。
公然わいせつも含まれていないのはちょっと驚きでしたが。

まあ、規則は議会を通さなくても変えられるので、この「刑罰法規」の範囲がはさじ加減でさらに広がるのかもしれません。


補足:
ただし、条例8条1項2号に該当せず指定されなかった刑罰法規描写でも、施行規則15条1項3号ロにあるように条例第8条第1項第1号で指定される可能性もあります。

第15条 条例第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準は、次の各号に掲げる種別に応じ、当該各号に定めるものとする。

三 著しく自殺又は犯罪を誘発するもの 次のいずれかに該当するものであること。

ロ 自殺又は刑罰法規に触れる行為の手段を、模倣できるように詳細に、又は具体的に描写し、又は表現したものであること。

東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/08_jyourei/08_p2_1.pdf

卒論の要旨

教授の方々による口頭試問のための卒論の要旨です。
「んな長い文章、読んでられっか!」という方におすすめですよ。





成年コミックマークの爪痕――マルチスクリーンバロック

 著作物に対する規制は、それが作者たち自身が選びとったものではないという点で、負の圧力であるといえる。それまでの表現のあり方が規制によっていびつに変化してしまう可能性があるためである。しかし、表現は規制によるいびつさをきっかけとしてさらに洗練されていくこともある。規制は、それがない状態での表現の進化の歩みを止めてしまうものかもしれないが、じつはその歩みを別の方向へと進めていくものでもある。本論文はこのような創作物への規制が表現に与える影響についてマンガを例として論じた。
 第1章では、戦後マンガの表現が引き起こした主な事件とその後の経過について検証し、戦後の規制の流れを明らかにした。マンガ規制の根拠は多くの場合、読者に悪影響を与えるというものであり、その「読者」には子供が想定されることが多かった。
 第2章では、戦後最大の弾圧事件とも評される1990年代初頭の有害コミック騒動の経過と、それを受けたその後のエロマンガの変化について述べた。この騒動の結果として導入された規制が成年コミックマークの付加である。すべての成年向けのマンガの表紙に貼られることになったこのマークは、成年向けマンガとその他のマンガとのあいだに制度的・表現的に深い断絶を生んだ。マークの影響もあって成年マンガは過激化・抜き重視化の道を進むことになり、エロマンガは自由にセックスを描くことができなくなった。
 第3章では、マルチスクリーン・バロックと呼ばれる成年コミックマーク以後のエロマンガの状況が生み出した新しいマンガ表現について考察した。マルチスクリーン・バロックという表現の特徴は、まず過剰さと非正統性にある。見開き全体で読者の性欲を高める絵だけを過剰に詰め込むことで、コマによって担われていたマンガの読みの順序の重要性は減退した。これによってマンガとしての物語性は弱まったが、代わりに読み手がまず見開き全体をひとつのコマのように読むようなアイキャッチ性を獲得した。マルチスクリーン・バロックにおいて詰め込まれているのは欲情対象キャラクターの同化を促す性的快感の記号である。マルチスクリーン・バロックの紙面を一目見た時の迫力とは、見開きの全てのキャラクターと一気に同化するため起こるものである。見開き構成が多層であるという点で、マルチスクリーン・バロックは少女マンガ的表現と共通しているが、少女マンガが多重コマ特有の時間感覚を的確に操作して表現したのに対し、マルチスクリーン・バロックは2つのコマの関係が未来、過去、同時であるか確定できないという点で異なっている。またマルチスクリーン・バロックは、コマ内外の空白の空間や背景などの意味の無い絵である「間」のほとんどを削りページを圧縮し、その分性的快感の「情報」を詰め込むことで読者に思考の暇を与えず、快感の「情報」だけを一方的に与えるエロマンガ表現である。
 成年コミックマークという規制はマルチスクリーン・バロックが出現した原因の一端となっている。つまり規制されている状況下だからこそ生み出された表現といえる。そうである以上、全面規制以外ではマンガ表現と規制の関係はイタチごっこにすぎない。

卒論UPしてました。『成年コミックマークの爪痕――マルチスクリーン・バロック』

無事卒論を書きあげることができました。

なんとなく上げておきます。
http://twitdoc.com/view.asp?sid=TU&ext=PDF&lcl=-.pdf&usr=talyun_&doc=47241885&key=key-27l8t407qd8nuf10rssi

タイトルは『成年コミックマークの爪痕――マルチスクリーン・バロック』です。

マンガが表現規制されたらどうなっちゃうのか。
マンガ表現に外部はどのように作用し、変化させるのか。

といった、最近のマンガの話題でアツそうな問題の一端をアレしております。
興味ある方はぜひ。

たかが学部生の卒論なので、過度なk(ry

無い内定の夏〜初秋

 来春大学卒業だというのに未だに就職先が決まっておりませんでした。これじゃイカン、ということでネットの情報を遮断することにしました。
 ツイッター、ニコ動、タンブラー、ミクシィなどなど。これまで私の時間はこれらにだいぶ侵食されてたのに今さら気付いたんです。
 思い返せば受験勉強のときも同じような自己禁欲を科していました。当時唯一の娯楽、ケータイのブックマークはエロ動画サイト以外すっぱり消して受験に集中。んで見事志望校に合格した栄光の記憶がよみがえりましたので、それにあやかって今回も実行したわけです。
 あときうまくいったんだから、またこれやったらうまくいくんじゃねーの。みたいな。

 まあ暫定結果を申しますとうまくいってないんですがね。未だ無い内定です。

 というか、今回は禁欲の動機が純ではありませんでした。「就活のために!」という明確な目的ではなく、なんとなーく「あー他になんかやることあるんじゃないかしらー」という感じで、ただネット以外のことが目的でした。そこにはもちろん就活も入っておりましたが、もちろんそれ以外でもよかったのです。
 禁欲を始めてすぐはそこそこ就活に励みましたが、徐々にに他のことに興味が移っていきました。就活の合間の息抜きのつもりだったんですがねえ。

 まず、ネットラジオを聴き始めました。履歴書書いてるあいだは手だけ動かしてりゃいいのでどうしても脳みそが暇になります。それで聞き始めたわけです。
 暇つぶしだったラジオは時の経過とともにそれが目的に変わっていきました。さよなら絶望放送、夏子と千和のツンピリラヂヲ、のら犬兄弟の業界時事放談など最近聞いていなかった番組を「まだやってたんだー、なつかしーなー」と思いながら聞いたり。みつどもえラジオ3ちゃんねる、うぇぶらじ@電撃文庫などにも新しく手を出してしまったり。

 こうして次第に履歴書執筆を伴わなくなってしまったアニラジ視聴。今度は聞いてるあいだ手が暇になってしまいました。頭を使わず手だけ動かす作業…。そう、ソリティアですね。中でもスパイダーソリティアは上級で勝率が1%に届くかというところまで上達しました。
 マインスイーパーはその昔、上級で89秒を叩きだすほどの腕前でしたが、今プレイすると手が思うように動かずにイライラするだけだったので、ネトラジタイムの暇つぶしには適さないことを悟りました。

 マンガもたくさん読みました。読み返したいなと思ってた眺めのものはだいたい再読しましたね。バクマンは主人公たちの言動にオイオイとツッコミを入れつつ、三浦さんて新卒1年目なんだよなあ、と無駄に落ち込んだり。屍鬼は村の人口以外と多いなあとか思いながら。神のみぞ知る世界はどのエピソードもテンプレだけどいい話なんだよなあ、と。めだかボックスはおっぱいおっぱい。電影少女はチクビチクビ。
 親切な方がいるもので、いろんなマンガも貸していただきました。天使なんかじゃないでは少女マンガのだいたいを理解。バラ色の明日はポエティック。ねむようこの午前三時シリーズでは「仕事なめんな!」に打ちのめされ。など。
 こんなふうに、勉強のために読むでもなく、いつもよりもなんとなーくページをめくっていた気がします。

 けど、勉強もちょっとしましたよ。マンガのシステム、封印漫画大全、戦後エロマンガ史。まあ一カ月でこれだけ読めば卒論控えた学生としてはギリギリ落第しないレベルなんじゃないでしょうか。

 で、禁欲生活も2週間を過ぎたあたりからタブーを侵し始めるわけです。やっぱりニコ動おもすれー。さ技師さんの桃鉄、つわはすさんのバンカズ、せんとすさんのスパ4、セピアさんのマリオサンシャイン、といったゲーム実況。あと、ノベm@sのハリアーP動画とか。だらだらと見ております。
 最近では「また動画作りたいなー」とも思い始めたり。

 とまあ、ここ一カ月のことを怠惰をやや強調して表わしたらこんな感じです。就活もまあやってます。この前合同説明会に行って手持ちも増やしてきましたし、無勉の公務員試験にはなぜか合格しましたし。 まあ、就活のことは内定もらったらまとめて書きたいですね。いやその前に内定いただけるかわかりませんけどね。


 実は、ここ1週間特にだらだらした日々が続いてたのですが、そんな気分と決別するために久々にエントリ書きました。明日からきっとがんばります。

美少女フィギュアのパンツ批評・2009夏〜PVCだから恥ずかしくないもん〜

去年の今頃書いたものです。




1、はじめに
 フィギュアのパンツ批評といえば、ニュースブログ「ASCII.jp」内の「アキバ裏」というコーナーは非常に質の高いパンツ批評で有名であった。フィギュアショップのケースに飾られた見本品のフィギュアのパンツを、周りの目も気にせず超ローアングルの不自然な体勢で撮影したり、また厳選したフィギュアを経費で購入し、その衣服を脱がす際のニッパーさばきの丁寧さといい、担当ライターのフィギュアのパンツへの情熱はすさまじいものであったと記憶している。ところが今ではライターが代わってしまい見る影もなくなってしまった。
 本稿ではそんな前ライターの遺志を継ぐべく、微力ではあるが一人でも多くの人にパンツの素晴らしさを伝えていきたい。というわけで、我が家のフィギュアたちのパンツを紹介していく記事である。

2、フィギュアのパンツの魅力
 私がフィギュア収集を始めたのは2007年の夏ごろだっただろうか。最初に買ったのは『ぱにぽにだっしゅ!』のトレーディングフィギュアであった。それから1年半以上が過ぎ、現在私の部屋には大小合わせて60体ほどのフィギュアが存在している。今回フィギュアのパンツ紹介ということで確認してみたが、パンツが確認できるものは20体ほどしかいなかった。全体の3分の1だけである。以外と少ないと感じられたと思う。フィギュアであっても現実と同様パンツは貴重なものなのだ。
 パンツが貴重な理由は次のとおりである。つまり、パンツがあるということはその周りをスカートが覆っているということとほぼ同義である。これでは股間部分が隠れ、見えづらくなってしまうのだが、それではエロさが半減しフィギュアの売れ行きは悪くなってしまう。そのために、万人受けを狙いスク水、ブルマなど股間部分が見えやすいフィギュアが量産されてしまうという構造になっているのだ。要するにスク水、ブルマはいわば資本主義の波に飲み込まれた妥協の産物にすぎない。
 その一方、万人受けを捨て去り、商業主義の介入をかたくなに拒んだパンツにはパンツ職人の熱い魂が宿っている。なぜ、パンツ職人は安易にスク水、ブルマに走らずパンツにこだわり続けるのか。それはひとえにパンツへの愛に他ならない。そんなパンツ職人のパンツへの愛情でもって創られたパンツは必然的にクォリティを増してゆくのである!たかがフィギュアのパンツとはいえ馬鹿にしてはいけない。そこにはパンツに込められた多くの思いと、そこに裏打ちされた高いクォリティがあるのだ。

3、紹介
 前置きが長くなったが、ここからようやくフィギュアを紹介していく。本当は全20体のフィギュアのパンツすべてを事細かに紹介していきたいのだが、紙面の都合上、3体に限らせていただく。

Max Factory 涼宮ハルヒの憂鬱 鶴屋さん (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

 鶴屋さんといえば緑のロングヘアーが特徴的であるが、毛束を細かく分け、散らすことで躍動感が生まれている。スカートやエプロンのはためきもあいまって、鶴屋さんの威勢のよさがよく表れているフィギュアである。
そんな元気な鶴屋さんのパンツであるが、私の所持しているフィギュアの中でも1,2を争うほど手が込んでいる。

 リボンとレースがついておりとても凝ったつくりとなっている。またカラーなら一目でわかるのだが、パンツにはラメの入った塗料が使われている。テカテカと黄色く輝くパンツは素材がシルクであることを想像させる。パンツのしわ、クロッチ部分などの縫い目など、どこを見ても非常に高い水準である。
また、最初の写真を見てタイツを履いていると思った方は多いであろう。私もそう思って注文した。ところが届いてみたら実はニーソだったのだ。画期的な解釈であった。アニメを見たことがある人であれば、あれがタイツであることは疑いようもない。しかし、この原型師はあえてニーソだったのだと解釈した。それはなぜか。パンツのためである。タイツだと解釈すればただまっ黒に塗ればいいだけで制作に労力はまったくかからない。対してニーソならばはみ出た太ももの肉の処理など多くの手間がかかるが、しかし、パンツは作ることができる!手間を惜しまずニーソ&パンツを貫いた姿勢には本当に頭が下がる。
 先ほど述べたように、高いクォリティの影にはパンツ職人の熱い情熱が隠されているのだ。

壽屋 ぱにぽにワンコイングランデフィギュアコレクション『レベッカ宮本ベッキーメソウサ)』

 これはトレーディングフィギュアとして1個700円ぐらいで販売されている、比較的安いフィギュアであるが、とてもよいパンツをしている。
 まず絶妙なスカートの長さであるが、実は最初の写真ですでにパンツが見えている。フィギュアと同じ目線であるにもかかわらず、パンツが見えるようで見えないようで、しかしよくよく見ると見えている。私は過去これほどのチラリズムを感じるものに出会ったことがない。

また、このベッキーというキャラクターは10歳という設定であるが、そのスラっと伸びる美しい幼女特有の足の根元からは、子供のものとは思えないきわどいパンツが見える。このギャップがたまらない!
 さらに、パンツ自体のクォリティもトレーディングフィギュアにしては高い。この値段でしわ、縫い目をつけたフィギュアを知らない。安物といっても油断はならない。ちなみに色は白である。

③ トイズワークス メイドをねらえ! 中林校長の野望 餅田菜摘 暁暗の黒メイドバージョン (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

 必死でスカートを抑えている仕草がかわいらしいフィギュア。椿あす氏作画のメイド服のデザインは細かく再現されており、衣装のできも見どころである。
 さて、肝心のパンツである。この少女が必死にスカートを抑えてパンツを見せまいとしているのだが、実は後ろに回るとパンツ丸見えである。がんばって隠しているのに結局パンツが見えちゃってる様子はなんともいえないかわいさである。
 そして何よりもこのフィギュアの最大の目玉は台座である。実はこの台座は鏡になっているのだ!こうなるともう前方の視線からパンツを隠すことすら難しい。全国のミラーマン予備軍の願いを叶えた素晴らしい台座である。鏡の台座の採用によって、パンツを見られることへの恥じらいと、パンツを隠そうとするが結局隠せない少女の無力さとが絶妙なハーモニーを奏でており、ここからさまざまなストーリーを想像させられる。

 また、ガーターベルトのつけ方がきちんとしている点でも評価は高い。これ以前のフィギュアではパンツの上からガーターベルトをつけるという間違ったつけ方のものが大半を占めていた。現実でこのようにつけるとパンツが下せなくなりトイレの時に不便なのだ。フィギュア原型師のほとんどが男性であるためこのような間違いは仕方のないことなのかもしれないが、やはり女性の下着に対しての知識と熱意に欠けていたと言わざるを得ない。一方、この原型師はきちんとフィギュアにガーターベルトの上からパンツを穿かせた。知識も熱意も申し分ないパンツ職人だと言える。
 パンツそのものもシンプルなタイプでありながら、体のねじれを考慮に入れたしわといい丁寧な仕事が光っている。色は白だ。

4、おわりに
 フィギュアのパンツの世界、いかがだっただろうか。少しでも多くパンツの魅力を伝えようと書いてきたが、私としてはまだまだという感じがする。パンツ界はそれほど奥が深いのだ。今後のフィギュアのパンツ批評界の発展を願いつつこの辺りで筆を置きたいと思う。

超雑把、適当、マンガにおける黒人表現の歴史

たまたま参照できたマンガだけで適当に検証していきます。
黒人というか褐色キャラを集めただけなのですけれど。
卒論のネタにしようと思ったら先生にボツられてしまったので、まあいいです(笑)




手塚治虫ジャングル大帝』1950〜
原住民


ザ・原住民という感じですね。ベタで塗りつぶされた肌、タラコ唇、まん丸の目、で記号化されております。







成田美名子CIPHER』1、白泉社、1985

アメリカの黒人。こちらはただ顔にトーンを貼っただけで、そこまで黒人の身体的特徴を強調してません。
ただレイプ未遂ですけどね・・・・・・w


ルース

アメリカの学校に通う主人公のいいお友達。顔にトーンを貼っただけ。







―――――1989〜91年 黒人差別問題 ↓―――――



鳥山明Dr.スランプ』1990年
(名前未確認)

孫引きなのでどんなキャラなのかよくわからないのですが。
手塚の描いた黒人をマスコット化したような見た目ですね。
この表現は「黒人差別をなくす会」に講義を受けたので、コミックスでは猫っぽいキャラに修正されています。








ふしぎの海のナディア』はこの時期(1990〜1991)

褐色萌えを世に広めたと言われるナディアはこの時期。
黒人表現が叩かれていたこのタイミングで放映というのはなんというかふしぎですね。









作・活鹿北星 画・浦沢直樹MASTERキートン』7、小学館、1991
リトル・ジョン

イギリスの黒人。悪そうな目、やはり悪役。デザインもまさに黒人っぽい。丸目、厚い唇。ただ、肌はトーンです。
この表現は当時は差別じゃなかったんですかね?
肌がトーンならセーフなんでしょうか。








―――――1989〜91年 黒人差別問題 ↑―――――








弘兼憲史加治隆介の議』3、講談社、1993
現地人アメリカ)

政治家のマンガ。
こちらも悪役です。上の人と酷似してますね。







原作・一色伸幸 作画・山本直樹僕らはみんな生きている』、小学館、1993
セーナベトナム


こちらはアジアの褐色。
ミステリアスな雰囲気を醸し出しておりますね。南洋幻想的なものでしょう。
肌が黒いという表現が、斜線→トーンと変化しております。




モブキャラベトナム

ベトナムの兵士の方。







大島司シュート』29、講談社、1996
光岡丈時、ジョージ光岡日系ブラジル人

日系ブラジル人の助っ人な彼です。
見るからに頼もしい感じの顔立ち。








氷川へきるぱにぽに』2、エニックス、2002
ズーラ(海外)

このキャラ、実は女の子。
女性なのにゴツいというギャグです。ちなみにアニメでは麦人さん(男性)が声を当てました。
容姿的に世が世なら確実に差別表現認定されそうですが、礼儀正しいという性格設定でこれを匠にカバー(?)







小林尽School Rumble』5、講談社、2004
ララ・ゴンザレス(メキシコ)

メキシコからの留学生。
ズーラとは違ってこちらは普通の美形な容姿にトーンを貼っただけ。
台詞にカタカナを混ぜることでも外国人感を演出。







平本アキラ俺と悪魔のブルース』1、講談社、2005
RJ+モブキャラアメリカ)

こちらはガチで史実に基づいて黒人を描いた作品。
白人による黒人差別の描写もあったりします。
坊主頭で唇は分厚い。肌はトーン。









九条キヨZONE-00』1、角川書店、2007
朧児(魔物)

魔物と書いてモノノケと読みます。
白くない肌がワイルドで怪しい雰囲気を醸し出す敵キャラ。








脚本・倉田英之 漫画・okamaCLOTH ROAD』4、集英社、2007
フェロ・フレグランス(右)(中米系)
マチュピチュ(左)(南米系)

服でバトルする未来の世界を描いたマンガ。
このシーンは世界各地の代表が集まって最強を決めるお祭り。
代表7人中、褐色キャラが3人もいることにも注目。
フェロはドレッドヘアーの中米系。ボロを纏い匂いで戦う。
マチュピチュは名前からして南米系。アスリート的に素早い動きで戦う。



ジュリエット(東南アジア系)

ジュリエットは元孤児。
かわいそうな幼女ということで東南アジア系かなと勝手にイメージ。
バトルの天才な設定。







原作・花田十輝 作画・乃花タツホーロロギオン』2、アスキーメディアワークス、2010
アシャラギオン

役どころとしては時の妖精みたいな感じ。
ただトーンを貼っただけ。
南洋幻想チックな妖艶さをまとっております。






Noise「ステレオタイプ」、『COMIC LO』、vol.76、茜新社、2010

ネフェル
(エジプト、ハーフ、在日)

エロマンガのヒロイン。もちろんセックスします。
タイトルが皮肉っぽいですね。
エジプトキャラを押し付けられて無理してエジプトっぽく振舞うネフェルさん。
それを察した彼氏が「そのままでいいんだよ!」みたいなこと言って感動の中セックス。
みたいなストーリーです。






やっぱり自分の手の届く範囲を拾っただけじゃ微妙ですね。
ただ、黒人差別問題のあとの褐色キャラの広がりは見てとれると思います。